クレジットカードの現金化は自己破産できない?

クレジットカードの損失は自己破産できない、一生ついて回る負債になる?

クレジットカードの現金化のリスクはさまざまですが、最も大きなリスクのひとつとして、多重債務となったとしても自己破産ができない(正確には免責されない)、という点があります。このため、クレジットカードの現金化を利用してしまった場合は、人生の再チャレンジできない可能性があります。

 

 

破産と免責

 

破産手続は、破産法第2条第1項に定められている手続きのことで、「債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続」をいいます。具体的には、債務者の残っている財産を債権者に対して公平に清算する手続きのことです。
「自己破産」と表現される破産は、債務者自身による破産のことです。破産には、この他に、「債権者破産」=債権者の申請による破産、「準自己破産」=会社役員の申請による会社の破産―あります。
よく勘違いされがちですが、破産手続自体は、財産の精算手続きでしかありません。このため、破産手続だけでは、借金や債務が免除されるわけではありません。
借金や債務が免除されるためには、別途、免責手続=免責許可の申立てをしなければなりません。免責とは、文字どおり、残った債務者の財産の清算が終わった後の債務を免除することです(破産法第253条)。この免責手続の申立てにより、免責が許可されて、初めて借金や債務が免除されることになります。このため、破産手続においては、免責が許可されるかどうかが非常に重要となります。

 

 

クレジットカードの現金化は免責不許可事由

 

さて、免責が許可されるかどうかの条件は、「免責が許可されない条件」として規定されています。これを、「免責不許可事由」といいます。このうち、クレジットカードの現金化は、具体的には破産法第252条第1項第2号に該当します。

 

第252条(免責許可の決定の要件等)
1 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
(1)(省略)
(2)破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
(途中省略)
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

 

クレジットカードの現金化のうち、買取屋方式の場合は、利用者がなんらかの商品を購入し、高額・高率の手数料(実質的な金利・利息)を負担したうえで、その商品を買い戻してもらう、または転売する契約です。このため、「商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと」になります。
また、キャッシュバック方式の場合も、商品の買戻しや転売はありませんが、高額・高率の手数料であるため、「著しく不利益な条件で債務を負担し」たことになります。
このため、クレジットカードの現金化を利用した場合は、債務が残ったまま破産することになる可能性もあります。

 

 

最終的には裁判所の判断

 

もっとも、破産法第252条第2項には、「破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」とあります。このため、たとえクレジットカードの現金化を利用した場合であっても、最終的には、裁判所の裁量により、免責が許可されることもありえます。
ただ、これはあくまで裁判所の裁量によって決定されるものであり、あまりあてにするべきものではありません。
このため、クレジットカードの現金化を利用する前であれば、先に自己破産の検討をするべきです。また、すでにクレジットカードの現金化を利用してしまった場合は、専門家とよく相談のうえ、裁判所の裁量による免責の許可を受けることができるよう、破産手続を進めることも考えるべきです。

 

 

免責が許可されても請求される

 

なお、クレジットカードの現金化を利用した場合は、免責が許可されたとしても、カードの発行会社から返済を請求されてしまう可能性があります。というのも、免責となった場合であっても、一部の債権については、責任を免れることができません。具体的には、次のとおりです。

 

破産法第253条(免責許可の決定の効力等)
1 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
(1)(省略)
(2)破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
(以下省略)

 

クレジットカードの現金化は、詐欺罪・横領罪という犯罪行為によっておこなわれる契約ですから、悪意で=積極的な害意があって(一般的な法令用語としての「悪意」=事情を知っていることとは異なります)加えたカードの発行会社に対する不法行為であるといえます。つまり、クレジットカードの現金化は、上記の破産法第253条第1項第2号に該当するといえます。
このため、たとえ免責の許可を受けることができたとしても、クレジットカードの発行会社に対しては、責任を免れることができない可能性もあります。

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