クレジットカードの現金化を支払停止の抗弁で対抗できる?

クレジットカード現金化を「支払停止の抗弁」で対抗できるか

クレジットカードの現金化を利用してしまった場合、様々なリスクが発生しますが、クレジットカードの発行会社に決済の停止を求めることで、ある程度のリスクを回避することができる可能性があります。ただし、クレジットカードの発行会社自体が現金化の被害者でもありますので、対応には注意が必要です。

 

 

決済の停止―「支払停止の抗弁」とは

 

クレジットカードを利用して商品の代金を決済した場合、何も問題がない場合は、クレジットカードの発行会社から現金化の業者に対してお金が支払われます。これに対し、利用者と現金化の業者との間で何らかの問題が発生した場合は、利用者は、クレジットカードの発行会社に対して、現金化の業者に対する支払いを停止するように求めることができます。
このように、クレジットカードの発行会社に対して、現金化の業者に対する支払いを停止するよう求めることを「支払停止の抗弁」といい、その権利のことを「支払停止の抗弁権」といいます。

 

 

割賦販売法による支払停止の抗弁

 

支払停止の抗弁権は、割賦販売法に規定されている権利です(割賦販売法第30条の4、同第30条の5)。この条文は専門用語が多くわかりづらい表記となっていますが、ポイントとしては、「包括信用購入あっせん関係役務提供事業者(=クレジットカードの現金化の業者)に対して生じている事由」が条件となっている点です。
この事由の具体例としては、経済産業省(当時の通商産業省)の通達によると、次のとおりとされています(「昭和59年改正割賦販売法等の施行について」(昭和59年11月26日59産局834号))。

 

(ア)販売業者に債務不履行があること
①商品の引渡しがないこと
②見本・カタログ等によって提示された商品と現に引き渡された商品とが違うこと
③商品に明らかな瑕疵又は隠れた瑕疵があること
④商品の引渡しが遅れたため商品購入の目的が達せられなかったこと
⑤商品の販売の条件となっている役務の提供がないこと
⑥その他販売業者に債務不履行があること
(イ)売買契約が成立していない場合、無効である場合又は取消しうる場合であること

 

クレジットカードの現金化の契約は、詐欺・横領に該当する契約であり、公序良俗違反(民法第90条)として無効です。このため、上記(イ)に該当し、支払停止の抗弁の事由に該当します。
また、クレジットカードの現金化の業者からのキャッシュバックなどの入金がない場合は、上記(ア)⑤または同⑥に該当し、支払停止の抗弁の事由に該当します。
ただし、クレジットカードの現金化が次のような場合などでは、対象外となります。

 

①営業のためまたは営業としておこなった場合(割賦販売法第35条の3の60第1項第1号)
②決済の金額が手数料を加えた総額で4万円未満のとき(リボ払いの場合は3万8,000円)の場合
③支払いの停止が信義に反する場合

 

また、当然ながら、割賦販売法が適用されない場合も、割賦販売法による支払停止の抗弁はできません。具体的には、2か月を超えない1回払い(いわゆるマンスリークリア)などの場合は、割賦販売法の適用がありません。

 

規約による支払停止の抗弁

 

割賦販売法の適用がない場合は、クレジットカードの発行会社が定める規約にもとづいて、支払停止の抗弁をすることもできます。この場合、多くのクレジットカードの発行会社の規約では、次のいずれかの事由が必要とされています。

 

①商品の引渡し、サービスの提供等がないこと
②商品に瑕疵(欠陥)があること
③その他の抗弁事由があること

 

クレジットカードの現金化の契約は、詐欺・横領に該当する契約であり、公序良俗違反(民法第90条)として無効です。また、クレジットカードの発行会社が被害者になる可能性がある契約でもあります。クレジットカードの発行会社としては、③に該当するものと判断し、現金化の業者に対して支払いを停止せざるを得ないものと考えられます。
また、クレジットカードの現金化の業者からのキャッシュバックなどの入金がない場合は、①に該当し、支払停止の抗弁の事由に該当します。

 

使用停止・一括返済・刑事告訴

 

もっとも、クレジットカードの発行会社に支払停止を求める際には、当然ながら事情を説明しなければなりません。また、発行会社によって対応はさまざまですが、通常は書面による申込みが必要となります。このため、発行会社に、本来は規約違反であるクレジットカードの現金化がなされたことが発覚します。
このような場合、発行会社が取りうる手段としては、①カードの使用停止、②契約解除、③一括返済の要求(いわゆる「期限の利益の喪失」―くわしくはこのページ)、④刑事告訴―などが考えられます。
このため、利用者としては、支払停止の抗弁の請求をする際には、これらのペナルティを覚悟しなければならいません。

 

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