クレジットカードの現金化は景品表示法の例外?

キャッシュバックに該当するから合法?―景品表示法の問題

クレジットカードの現金化をおこなっている業者のホームページでは、クレジットカードのショッピング枠の現金化が合法であり、違法ではない根拠が記載されていることがあります。特に、いわゆる「キャッシュバック」方式を採用している業者の場合、「キャッシュバック方式」が景品表示法の景品の例外であり、景品には該当しないものであるから、違法ではなく合法である、という主張がされています。しかし、この主張は誤りです。

 

景品表示法の「景品類」と「キャッシュバック」の関係

まず、景品表示法では、「景品類」を規制の対象としています。また、景品表示法では、「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」(不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件(公正取引委員会告示第3号)1ただし書き)を例外として「景品類」から除外しています。
そして、いわゆる「キャッシュバック」を「取引通念上妥当と認められる基準に従い、取引の相手方に対し、支払った代金について割戻しをすること(複数回の取引を条件として割り戻す場合を含む。)」(景品類等の指定の告示の運用基準6(3)イ)として、このような場合は、「原則として」「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益に当たる」としています。
つまり、いわゆる「キャッシュバック」は、「景品類」の例外であるから景品表示法の規制対象外である、という理屈になります。

 

「キャッシュバック」方式は景品表示法の「キャッシュバック」か?

さて、それでは「キャッシュバック」方式のクレジットカードの現金化の方式は、本当に景品表示法の「キャッシュバック」に該当するのでしょうか?この点については、「正常な商慣習に照らして値引と認められる」のかどうかの問題点があります。

 

 「キャッシュバック」方式では、利用者は、業者から何らかの物品を購入します。通常は、この物品はほとんど価値がないものです。このため、この物品の購入は、真正な売買契約というよりも、キャッシュバックを装うための仮想取引であるといえます。さらに言及すれば、売買契約よりも金銭の引渡しを主な目的とした取引であるともいえます。
このため、「キャッシュバック」方式は、金銭の引渡しを主な目的とした取引であり、「正常な商慣習に照ら」した場合は、売買契約に付随する「値引」とは認められないものと思われます。
 以上のように、「キャッシュバック」方式のクレジットカードの現金化の方式は、景品表示法の「キャッシュバック」に該当しないものと思われます。

 

そもそも「景品類」か?

景品表示法では、景品類を次のように定義づけています。

 

「景品類とは,顧客を誘引するための手段として,方法のいかんを問わず,事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に附随して相手方に提供する物品金銭その他の経済上の利益であって,次に掲げるものをいう。」
一(略)
二金銭,金券,預金証書,当せん金附証票及び公社債,株券,商品券その他の有価証券
三(略)
四(略)

 

 この定義のなかで、「自己の供給する商品又は役務の取引に附随して」とあります。
すでに述べたとおり、クレジットカードのショッピング枠の現金化は、金銭の引渡しを主な目的とした取引です。このため、金銭の引渡しは、ほとんど価値がない物品の仮想取引に「付随して」おこなわれるものではありません。
このような意味から、そもそも、「キャッシュバック」方式における業者から利用者に対する金銭の引渡しは、「景品類」にすら該当しないものと思われます。
なお、消費者庁の資料(http://www.caa.go.jp/credit/pdf/genkin.pdf)では、「現金化は景品表示法の景品に該当しない」と明記されています。

 

景品表示法上は「合法」?

以上のように、実は「キャッシュバック」方式のクレジットカードの現金化は、景品表示法が適用されないものです。ですから、景品表示法の規制対象外です。では、クレジットカードのショッピング枠の現金化は、違法ではく、合法なのでしょうか?
そもそも、景品表示法は、クレジットカードのショッピング枠の現金化とは関係がない法律です。関係がない法律で問題がないからといって、合法であるとは言い切れません。
これは、殺人を犯しても景品表示法の規制対象外だから合法である、という詭弁と同じです。クレジットカードのショッピング枠の現金化についても、道路交通法違反や麻薬取締法違反でないからといって、合法であるといえるでしょうか?
多くのクレジットカードのショッピング枠を現金化している業者のホームページでも「景品表示法の規制対象外」であることを記載しています。しかし、景品表示法上は問題がないからといって、他の法律でも問題がないとはいえません。例えば、貸金業法、刑法、物価統制令、出資法、利息制限法などが利用者または業者に適用される可能性があります。

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